東雲山荘が紡いだ90年の物語と、未来へのバトン(東雲山荘のヒストリー)
1937年(昭和12年):幻のオリンピックと、先進的な「山の家」の誕生

日の出町の名の由来であり、古くから御岳山とともに親しまれてきた標高902mの日の出山。その山頂付近に東雲山荘が誕生したのは、昭和12年(1937年)のことでした。
当時、東京府(現・東京都)は国際的な観光地づくりを目指し、多摩の計画緑地「景園地」の整備を進めていました。それは、やがて戦争によって幻となる「東京オリンピック」を見据え、外国人観光客を迎え入れるための先進的なプロジェクトでもありました。
標高がそれほど高くない山に、「山の家」として東雲山荘が誕生したのは、そのような経緯によるものでした。
モダンな設計思想と、時を止めた「昭和レトロガラス」
まだ重機も通らない時代、山頂での建築工事は困難が予想されました。設計段階から工夫され、和小屋でありながら屋根には細い部材でも厳しい山の環境に耐えられる「トラス構造」のアイディアを採用し、特殊な建物を完成させました。窓にはめ込まれたのは、現在では貴重な「昭和レトロガラス」。職人の手仕事が生み出す独特の歪みを持ったガラス窓は、当時の光をそのままに、今も山荘に現存しています。
当時、多摩地域には同様の景園地整備事業により施設がいくつか建てられましたが、時代の波に飲まれ、現存しているのはこの東雲山荘ただ一つ。文化財登録も可能とされる、後世に残す価値のある建築物です。
人々の営みを見守り、天皇陛下を お迎えした憩いの場
それから約90年。東雲山荘は、山岳愛好者やハイカーたちの宿泊地として、また子どもたちの星空観察の学習の場、世代を超えて愛されてきました。時には、地域の安全を守る消防団員の警戒詰所として、日の出山の山頂を静かに見守り続けてきたのです。
山荘にとって大きな足跡となったのが、平成24年(2012年)11月のことです。皇太子殿下(現在の天皇陛下)が周辺地域を周遊された際、昼食とご休憩のためにこの山荘に立ち寄られました。皇室の歴史にもその名を刻んだ、地域にとって誇らしい瞬間でした。
2023年(令和5年):突然の休止、そして未来への「再開プロジェクト」へ

管理人や地域の人々の手によって大切に改修され、厳しい風雪に耐えてきた東雲山荘。しかし、古くからの建築物故、令和4年度の耐震調査によって現在の耐震基準を満たしていないことが判明します。
安全を最優先するため、令和5年(2023年)4月1日、山荘はその長い歴史の中で初めて、利用休止という苦渋の決断を下さざるをえませんでした。
山荘に静けさが戻ってから、月日が流れます。現在、定期的な管理を行い建物の維持管理をしています。しかし、このまま地域の宝であり、歴史的遺産を眠らせておくわけにはいきません。「もう一度、あの山頂でハイカーたちの笑顔を迎えたい」「次の世代へ、この貴重な建物を引き継ぎたい」
そんな熱い想いから、いま「日の出山山頂 東雲山荘再開プロジェクト」を始動させました。
90年の歴史のバトンを、ここで途絶えさせないために。皆様の温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。
「日の出山山頂 東雲山荘再開プロジェクト」のためクラウドファンディングを実施しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
お問い合わせ
東京都 日の出町 企画財政課地方創生係
電話: 042-588-5043
ファクス: 042-597-4369
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